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校長室から

前期ホームルーム役員任命式で講話を行いました

   

 先生は、毎週土曜日の午前中、家の近所のクリーニング屋さんにクリーニングを出しに行くんです。そこのクリーニング屋さんは朝11時までに出すと、その日の夕方6時に仕上がるんです。先生は車の運転が得意ではないので、歩いていきます。その途中に交差点があるのですが、そこの信号機は「押ボタン式」なんです。「押ボタン式信号機」ってイメージありますか。歩行者が押ボタンを押さないと信号が青に変わらないんです。
 こんな注意書きが書かれています。
 「押ボタンを押さないと信号は変わりません」
 先生も最初、分からなくて、ずっと待っていれば、信号が勝手に青になるものだと思って、待っていたことがありました。
 「自分で」押ボタンを押さないと信号は変わらないんですね。

 私たちが生きているこの社会、ここでいう社会というのはコミュニティという意味ですけど。皆さんもいろんな社会の一員です。日本という社会、高萩清松高校という社会、1年1組という社会、ウェイトリフティング部という社会、アルバイト先という社会。皆さん、いろんな社会に属しています。

 では、自分が所属しているそれぞれの社会をよりよくするには何が必要だと思いますか。
 10秒間、頭の中で考えてみてください。
 今の10秒間が大切だと思うんです。一人ひとりが自分事として、当事者意識を持って考えること、そして行動に移すことが大切だと思います。
 
 今、HR役員が任命されました。
 まずHR役員の皆さん。HR役員をやってみるというその挑戦を先生は全力で応援します。がんばってください。HR役員以外の皆さん、社会をよくするには、社会の代表者だけががんばるのではなく、皆さんの力が必要です。ぜひみんなが、1年1組を、ウェイトリフティング部を、高萩清松高校をどうやったらよりよい社会になるかを、まずは一人ひとりが考えて、誰かが何かをしてくれるのを待つのではなく、自分から行動してほしいと思います。
 ただ、社会って、行動を起こしたらすぐに、クラスが、部活が、学校が変わるかどうかはわかりません。でもそうやって行動を起こしたこと、挑戦したことで、皆さん自身の生き方が変わることには確実につながると思います。

 もう一度、押ボタン式信号機に書かれている注意書きを言います。
 「押ボタンを押さないと信号は変わりません」
 言い換えれば、「押ボタンを押したら信号は変わります」
 皆さん、どうぞ自分の「人生」という押ボタン、自分の「生き方」という押ボタン、何度でも押しちゃってください。
 ボタンを押すのは、皆さん自身です。

部活動部員集会であいさつを行いました

  

 皆さん、こんにちは。

 去年の夏の甲子園、全国優勝した学校を覚えていますか。

 神奈川の慶応高校です。107年ぶりということが話題になりましたが、先生が個人的に注目したのが、慶応高校が部員の自主性を重んじていたことです。監督さんがこう言ってます。

 「生徒が自分で考える習慣を身につけてもらいたい。」

 

 先生も、何回かみんなの部活の様子を見せてもらいましたけど、みんなよく考えているなあ、って感心しました。

 タイマーで時間を表示して、時間を意識して練習したり、とか。

 2人で対戦している時に、残りの1人はサーブ練習したり、とか。

 

 たぶんみんなの中で、今やっている部活そのものを将来、職業にしていく人はそんなにいないと思うんです。

 サッカーのインステップキック、インステップキックそのものが将来役に立つ可能性はどうかわからない。でもインステップキックが上達するために、どんな練習をしたらいいのかを自分で考えて、それを試行錯誤しながら練習を続けた、そのプロセスは人生につながると思うんです。

 

 ドジャースの大谷選手、野球そのものを職業にしています。

 大谷選手が高校2年生の時、マンダラチャートというのを作っていたのを知っていますか。

 自分の最終目標を決めて、そのために何をする必要があるか、っていうのを表にまとめたものです。すごいのは、野球の技術に関することだけでなくて、一見、野球に直接関係ないこと、例えば、「人間性の向上」が必要、そのために、思いやり、感謝、礼儀が大切、とか。「運」も必要、そのために、あいさつ、ごみ拾い、審判さんへの態度が大切とかっていうことも考えて実行していたんです。

 今でも、時々テレビで試合中、大谷選手がグラウンドに落ちているゴミを拾うシーンがあるんですけど、「運を拾っている」って言うんですね。

 

 先生もサッカー部の顧問をしていた時に、生徒によく言ってました。シュートがポストに当たって、そのボールがゴールの中に入るか、外に出てしまうか、もちろん、運かもしれないけど。でもその運って、サッカーの技術以外の何かが引き寄せているんじゃないか。

 

 部活動を通して、日々の行動で、運(うん)を引き寄せ、その運が新たな「出会い」=縁(えん)を呼び、その縁が「感謝の気持ち」=恩(おん)につながると、きっと皆さんの人生が豊かなものになると思います。

                                                                  完(かん)

避難行動訓練で講評を行いました。

  

 皆さんこんにちは。

 本日の避難訓練お疲れさまでした。


 正確に調べたわけではないのですが、日本全国の学校で今日、避難訓練を行っている学校はあんまりないと思うんです。高萩清松高校の令和6年度最初の学校行事、1年次生、2年次生、3年次生が全員集まって行うのが避難訓練なんです。私はこのことには大変重要な意味があると思っています。


 おととい、図書室を見に行きました。本当にステキな図書室なのでみんなも行って欲しいのですが。図書室の廊下の壁に、去年の七夕でみんなが作った短冊、願い事が飾ってありました。ひとり一人の願い事を読んで、こういう感性を大切にできるのっていいなあ、って思いながら見ていました。


 もし、先生が高萩清松高校の校長として、何か1つだけ願いが叶うとしたら、「みんなの命を守ること、先生方の命を守ること」です。学校はみんなの大切な命を預かる場所であり、そして先生方の命も預かる場所であり、みんなに生きていく力を身につけてもらう場所です。


 首都直下型地震が30 年以内に起こる確率は70%以上だそうです。

 30年以内っていうのは、2054年4月10日かもしれませんし、2024年4月10日かもしれません。その時に、みんながどこにいても自分の命を守ってください。

 ここにいる誰一人が欠けてもだめです。命を大切にしてください。


 言霊という言葉をきいたことありますか。「言葉に宿る力」のことです。

 何気なく言っている言葉でも、言った瞬間に言葉は力を持ち、影響力を持つというものです。良い言葉は良い結果をもたらすというのも言霊の力の一部だと言われています。


 「気をつけてね」という言葉があります。

 実際に出掛けに「気をつけてね」と言われた人は、交通事故の確率が減るという統計もあるぐらいです。

 これは、無意識のうちにその言葉が心に残り、無意識に「気をつける」からではないか?と考えられています。

 皆さん、今日の帰りも、気をつけてね。

入学式で式辞を行いました

  

 日曜日、花貫渓谷に行ってきました。花貫渓谷は秋の紅葉が有名ですが、私はこの季節の花貫渓谷も大好きです。新緑の中のモミジ、川沿いに萌える若葉、エメラルド色に輝く渓流、それらが一体となった、自然のたくましさ、美しさ、そして、あふれる生命力を感じてきました。まさに無限の可能性を秘めた、未来への希望に満ちた風景でした。

 このすべての命が輝く、春の良き日に、茨城県立高萩清松高等学校に、まさに無限の可能性を秘めた、未来への希望に満ちあふれた新入生、百六名の皆さんを迎えることができ、とても嬉しく思っています。新入生の皆さん、入学おめでとう。そして保護者の皆様方、本日はお子様のご入学誠におめでとうございます。

 

 さて、新入生の皆さん。今私たちが生きているこの現在の時代が、「VUCAの時代」と呼ばれるのを聞いたことがあるでしょうか。

 「V U C A」 4つの単語の頭文字をつなげた造語なのですが、一言で言えば、将来の予測が困難な現代を、VUCAの時代と呼んでいます。

 また、10年ぐらい前に、イギリスのある研究者が発表した論文の中で、このようなことが言われました。

 「今後、10年から20年で、日本の49%の職業が、機械や人工知能、AIによって、取って代わられる可能性が高い」

 ここまでの話を聞いてどんなイメージを持つでしょうか。

 将来の予測が困難。

 今ある職業がAIによって取って代わられるかもしれない。

 また、別のこんな調査結果もあります。

 最近行われた日本の保険会社の調査です。

 中学生に、将来なりたい職業は、と聞いたところ、3位が社長などの会社経営者・起業家、2位がプロのeスポーツプレイヤー、そして、1位がYou Tuber だったそうです。

 これらの職業は、私が職業を考えるときには存在しなかった、あまり身近にありませんでした。

 そうすると、皆さんが進路を考える頃には、さらに、今、想像もできないような職業が存在しているかもしれません。

 あるいは皆さんが自分で新しい職業を作り出しているかもしれません。

 そう考えるとワクワクしませんか。

 

 つまり、先ほどの研究者の予測というのは、決してAIが将来、人間の仕事を奪うという悲観的な見方ではなく、将来の人手不足をテクノロジーで解決する可能性、あるいは、将来、人間は創造性やコミュニケーションがより求められる仕事を担うようになる、というような、人とAIとの共存の可能性を示したものとも言えます。

 最初に話したVUCAの時代。将来の予測が困難な時代というのは、言い換えれば、自分の未来を自分で切り拓ける時代、ともいえます。

 そう考えるとワクワクしませんか。

 それでは、自分の未来を自分で切り拓くための、生涯を生き抜く力とは何だと思いますか。

 私は「○○力(まるまるりょく・まるまるちから)」だと思います。

 この○○に入る言葉を決めるのは皆さん一人一人。

 自分が決めた自分なりの「○○力」を、自分の生き方にどう生かしていくかを決めるのも皆さん一人一人。

 その「○○力」は、決して3年間で完結するものではないかもしれません。

 生涯をかけて、「こんな生き方をしたい」という自分なりの理想の生き方、最近の言葉で言えばwell-being、よりよく生きる、幸せに生きるという意味ですが、幸せに生きるために、自分なりの試行錯誤を続けること、挑戦を続けることを通して、自分だけの「○○力」を探し続けてくれることを願っています。

 4月1日、最初の職員集会で、私は先生方と、髙萩清松高校をこんな学校にしていきましょう、ということを共有しました。

 その1つが、生徒も私たち教職員も、たくさん挑戦できて、たくさん失敗してもよい場にしましょう、ということです。

 「失敗」と聞くと、マイナスのイメージがあるかもしれませんが、挑戦したからこそ、失敗にたどり着ける、その失敗が次の挑戦につながると思うんです。

 もう1つが、「ラポール」を大事にしましょう、ということです。ラポールというのは、親和関係という意味で、別の言葉で言えば、「リスペクト」、尊重するといってもいいかもしれません。

 「生徒と生徒のラポール」「生徒と先生のラポール」そして、「先生と先生のラポール」

 生徒も私たち教職員も、お互いを認め合い、尊重しあえるそんな学校にしましょう、ということを共有しました。

 

 新入生の皆さん、自分だけの「〇〇力」を見つけるために、高萩清松高校での3年間、どうぞたくさん挑戦してください。どうぞたくさん挑戦につながる失敗をしてください。私たちはその挑戦を、その失敗を全力で応援します。

 昨日、始業式がありました。在校生にこんな話をしました。

 「今、ここにいる新3年生、2年生243人、そして明日入学する新入生106人、あわせて349人の349通りの未来に関われること、寄り添えること、今、とてもワクワクしています。皆さんは、私にとって、先生方にとってかけがえのない宝物です。」

 

 令和6年4月9日、ここ高萩清松高校で新入生の皆さん、保護者の皆様に出会えたことに感謝申し上げ、式辞とさせていただきます。

 

令和6年4月9日           

茨城県立高萩清松高等学校長 塚田 歩 

始業式で講話を行いました

   

 皆さんおはようございます。

 この4月から高萩清松高校校長になりました塚田です。

 4月1日に初めて高萩清松高校に来ました。先生は高萩清松高校のこと、何より、皆さんのことを早く知りたくて、先週1週間、先生方からたくさん話を聞かせてもらいました。

 先生が、「高萩清松高校の生徒たちってどんな感じですか?」って聞いたら、「うちの生徒はみんな純朴で、素直で、かわいい生徒ですよ。」って教えてくれました。まだその時には皆さんと会っていなかったのですが、その話を聞いてとても嬉しかったです。

 先ほど、「高萩清松高校校長になりました塚田です」という紹介をしましたが、校長って自分1人でなるものではなくって、先生方がいらっしゃって、そして皆さんがいて初めて校長になれるんですね。今、皆さんとこうして顔を合わせて、私の気持ちを伝えている、まさに今この瞬間、私は高萩清松高校校長になれたのだと思っています。

 今後は、みんなのことをもっと知りたいと思っています。授業や部活動の様子をたくさん見に行きたいと思っています。みんなの顔をたくさん見たいです。みんなの声をたくさん聞きたいです。

 今日は、先生のこともみんなに知ってもらいたいと思って、先生がこれまで教員として大切にしてきたことを伝えたいと思います。

 先生は大学を卒業して20年間、高校で英語を教えていました。教員としての思い出は、何といっても生徒との関わりで、クラスの担任として関わった生徒、英語の授業で関わった生徒、サッカー部で関わった生徒、それぞれの関わりが思い出に残っています。

 ふと思うんです。高校で同じ学年に生徒が200人いたとすると、20年間で4000人ぐらいの生徒と関わったことになるんです。

 1度きりの人生、という言葉があります。先生も今、1度きりの人生を生きています。

 ただ、教員って、これまで関わった4000人の生徒の4000通りの人生に、ちょっとだけですけど関われる気がするんです。

 4000通りの人生にちょっとだけですけど寄り添えるような。そんなふうに考えるとワクワクします。

 先生が最初に担任をした生徒たちは、今年48歳、最後に担任をした生徒は28歳になります。今、この瞬間も世界のどこかで生きているんですよね。そんなふうに考えるとワクワクします。

 たぶんこの先、先生が、卒業生たちに会うことはないかもしれません。

 でも、もしかしたら、今日の帰りにたまたま寄ったコンビニで、4000人のだれかに会えるかもしれません。明日どこかで会えるかもしれません。あさってどこかで会えるかもしれません。

 そう考えると、当選発表日が毎日続く宝くじを買ったような気がするんです。

 そんな宝くじの発表を毎日待ち続けることができる、そんなことを考えるとワクワクします。

 

 去年の9月26日、仕事で会議に出席したら、40歳ぐらいの男性に声をかけられました。

 「塚田先生ですよね。僕は32年前、高校1年生で、先生が教育実習のときに教えていただきました。」とのことでした。

 まさに、32年前に出会った宝物を見つけることができた瞬間でした。

 

 令和6年度高萩清松高校の校長として、今ここにいる皆さん243人、明日入学してくる新入生106人、全部で349人の349通りの人生に、ちょっとだけですけど関われること、ちょっとだけですけど寄り添えること、今、とてもワクワクしています。

 

 皆さんは私にとって、先生方にとっての宝物です。

 期待しています。