掲示板

1. 入学式で式辞を行いました

投稿日時: 04/10 森山諭志

  

 日曜日、花貫渓谷に行ってきました。花貫渓谷は秋の紅葉が有名ですが、私はこの季節の花貫渓谷も大好きです。新緑の中のモミジ、川沿いに萌える若葉、エメラルド色に輝く渓流、それらが一体となった、自然のたくましさ、美しさ、そして、あふれる生命力を感じてきました。まさに無限の可能性を秘めた、未来への希望に満ちた風景でした。

 このすべての命が輝く、春の良き日に、茨城県立高萩清松高等学校に、まさに無限の可能性を秘めた、未来への希望に満ちあふれた新入生、百六名の皆さんを迎えることができ、とても嬉しく思っています。新入生の皆さん、入学おめでとう。そして保護者の皆様方、本日はお子様のご入学誠におめでとうございます。

 

 さて、新入生の皆さん。今私たちが生きているこの現在の時代が、「VUCAの時代」と呼ばれるのを聞いたことがあるでしょうか。

 「V U C A」 4つの単語の頭文字をつなげた造語なのですが、一言で言えば、将来の予測が困難な現代を、VUCAの時代と呼んでいます。

 また、10年ぐらい前に、イギリスのある研究者が発表した論文の中で、このようなことが言われました。

 「今後、10年から20年で、日本の49%の職業が、機械や人工知能、AIによって、取って代わられる可能性が高い」

 ここまでの話を聞いてどんなイメージを持つでしょうか。

 将来の予測が困難。

 今ある職業がAIによって取って代わられるかもしれない。

 また、別のこんな調査結果もあります。

 最近行われた日本の保険会社の調査です。

 中学生に、将来なりたい職業は、と聞いたところ、3位が社長などの会社経営者・起業家、2位がプロのeスポーツプレイヤー、そして、1位がYou Tuber だったそうです。

 これらの職業は、私が職業を考えるときには存在しなかった、あまり身近にありませんでした。

 そうすると、皆さんが進路を考える頃には、さらに、今、想像もできないような職業が存在しているかもしれません。

 あるいは皆さんが自分で新しい職業を作り出しているかもしれません。

 そう考えるとワクワクしませんか。

 

 つまり、先ほどの研究者の予測というのは、決してAIが将来、人間の仕事を奪うという悲観的な見方ではなく、将来の人手不足をテクノロジーで解決する可能性、あるいは、将来、人間は創造性やコミュニケーションがより求められる仕事を担うようになる、というような、人とAIとの共存の可能性を示したものとも言えます。

 最初に話したVUCAの時代。将来の予測が困難な時代というのは、言い換えれば、自分の未来を自分で切り拓ける時代、ともいえます。

 そう考えるとワクワクしませんか。

 それでは、自分の未来を自分で切り拓くための、生涯を生き抜く力とは何だと思いますか。

 私は「○○力(まるまるりょく・まるまるちから)」だと思います。

 この○○に入る言葉を決めるのは皆さん一人一人。

 自分が決めた自分なりの「○○力」を、自分の生き方にどう生かしていくかを決めるのも皆さん一人一人。

 その「○○力」は、決して3年間で完結するものではないかもしれません。

 生涯をかけて、「こんな生き方をしたい」という自分なりの理想の生き方、最近の言葉で言えばwell-being、よりよく生きる、幸せに生きるという意味ですが、幸せに生きるために、自分なりの試行錯誤を続けること、挑戦を続けることを通して、自分だけの「○○力」を探し続けてくれることを願っています。

 4月1日、最初の職員集会で、私は先生方と、髙萩清松高校をこんな学校にしていきましょう、ということを共有しました。

 その1つが、生徒も私たち教職員も、たくさん挑戦できて、たくさん失敗してもよい場にしましょう、ということです。

 「失敗」と聞くと、マイナスのイメージがあるかもしれませんが、挑戦したからこそ、失敗にたどり着ける、その失敗が次の挑戦につながると思うんです。

 もう1つが、「ラポール」を大事にしましょう、ということです。ラポールというのは、親和関係という意味で、別の言葉で言えば、「リスペクト」、尊重するといってもいいかもしれません。

 「生徒と生徒のラポール」「生徒と先生のラポール」そして、「先生と先生のラポール」

 生徒も私たち教職員も、お互いを認め合い、尊重しあえるそんな学校にしましょう、ということを共有しました。

 

 新入生の皆さん、自分だけの「〇〇力」を見つけるために、高萩清松高校での3年間、どうぞたくさん挑戦してください。どうぞたくさん挑戦につながる失敗をしてください。私たちはその挑戦を、その失敗を全力で応援します。

 昨日、始業式がありました。在校生にこんな話をしました。

 「今、ここにいる新3年生、2年生243人、そして明日入学する新入生106人、あわせて349人の349通りの未来に関われること、寄り添えること、今、とてもワクワクしています。皆さんは、私にとって、先生方にとってかけがえのない宝物です。」

 

 令和6年4月9日、ここ高萩清松高校で新入生の皆さん、保護者の皆様に出会えたことに感謝申し上げ、式辞とさせていただきます。

 

令和6年4月9日           

茨城県立高萩清松高等学校長 塚田 歩